私もまだそんなに使っていないのに、子どもに使わせて大丈夫なの?
ニュースやSNSで聞かない日はないほど話題になっているChatGPT。
「学校の授業でも使われる」と聞いて、「安全性や今後の子どもの能力に影響はないの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
確かに、まだ誕生して間もないChatGPTを始めとする生成AIは使い方や活用方法など不透明な部分が多く、親としては未知の領域に感じやすいですよね。
ましてやそれを子どもが使うなんて、「本当に大丈夫なの?」と不安になって然るべし。
それでも学校で導入が進んでいくとなると、「子どもに安全に使わせるには家庭で何ができるの?」と、情報収集せずにはいられませんよね。
そこで今回は、学校での導入事例を紹介しながら、
・小学生がChatGPTを使っても影響はないのか?
・正しく使いこなせるために家庭でできること
・思考力など能力を伸ばすための活用方法
こちらをお伝えいたします💡
これからの時代を生きる子どもたちにとって、ChatGPTなど生成AIは避けては通れません。
今回の記事を通して、一緒に「ChatGPTの使い手になる力」を育てていきましょう✨
【本当に大丈夫なのか】小学生のChatGPT利用

自分で考える力が低下しそうな気がする…
このようなお悩みを抱え、ChatGPTを生活や学校に取り入れるのに不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、「正しくChatGPTを使いこなせば、むしろ語彙力、表現力、問題解決能力が向上する可能性」があるのです💡
ここでは「そもそも小学生が使用して問題ないのか」「なぜ正しく使えば、むしろプラスに働くのか」についてお伝えいたします。
小学生はChatGPTを使っても大丈夫なのか
「ChatGPTを使うのに、年齢制限はないの?」と不思議に思う方も多いかと思います。
実際、ChatGPTを作成しているOpenAIの規約では年齢制限が設けられており、「13歳未満の単独利用は原則禁止」とされております。
ただ「単独利用」が禁止されているだけで、実際教育機関や海外では「親や先生の見守りのもと」一緒にChatGPTを利用しているケースがほとんど。
文科省が令和6年に定めた「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」においても、教職員と活用する場面や学習で使用する場面について明記されており、「単独でなければ使用できる」ことが示されています。
よって、小学生のChatGPT利用は、保護者や教職員見守りのもとであれば問題ありません。
小学生が使う時に気をつけたい「3つのリスク」
規約上問題ないとはいえ、親御さんとしては「じゃあどんな点に気をつけて見守ればいいの?」と不安になりますよね。
小学生がChatGPTを使用する際に気をつけたいリスクとしては、以下の3つになります。
①誤情報(ハルシネーション)を信じてしまう
②自分で考えなくなる(思考停止)
③ChatGPTへの依存や宿題のコピペ(ズル)などにつながる可能性
これらのリスクが起こる原因としては、
・親が使用に関与せず、子どもが単独で利用する
・使用に関する家庭や教育の場でのルールがない
・使用する目的が明確でない
こういった状況にあると、リスクが一気に高まります。
正しく使えば「学びのパートナー」になる
ここまで読み、そう不安を感じる方もまだまだ多くいらっしゃるかと思います。
しかし、小学生がChatGPTを「使うor使わない」の二択で考えるのではなく、「どう使うか」という視点で見ていけば、お子さんの学習を手助けし思考力を伸ばす「最高のパートナー」に◎
具体的な効果としては、
・「なぜこうなるのか?」という「問いを考える力」が育つ
・連想ゲームや作文支援などで、語彙力・表現力が育つ
・親と一緒に検証することで、情報リテラシーや比較思考が育つ
こういったことが期待されます。
実際海外の研究データでも、ChatGPTを学習に取り入れた生徒の95%が「成績が向上した」「自分で考える力がついた」という結果が。
また、日本の有識者の間でも、
と同様の効果を提言しているのです。
ChatGPTの正しい使い方を学び、使いこなせるようになれば、お子さんの可能性を伸ばしてくれる「学びのパートナー」になるのですね!
では小学生がChatGPTを正しく使いこなすために、家庭ではどのように向き合っていけばよいのでしょうか。
次章で詳しくご紹介いたします!
家庭でできるChatGPTとの向き合い方|“使い手”に育てるルール3つ
ここでは、小学生がChatGPTを正しく使いこなすために家庭でできることを3つご紹介いたします。
①子どもと一緒にChatGPTを使う
②ChatGPTを使用する目的を明確にする
③使い方のルールを決める
順に詳しくお伝えいたします。
①子どもと一緒にChatGPTを使う
まずはママたちもお子さんと一緒にChatGPTを使ってみましょう!
初めは抵抗があったりどのように使っていけばよいか分からず、ハードルが高いかもしれません。
それでも毎日少しずつ、日常で気になったことを聞いてみるところから始めるだけでも、だんだんと活用の幅を広げることができます。
また、ママ自身が使ってみることで「子どもが使う上でどんなところに気をつけていけばいいか」「安全に使うためにどんなルールを設けたらいいか」が分かるように◎
お子さんがChatGPTの「正しい使い手」になるために、まずはお子さんと一緒に少しずつ使ってみてくださいね。
・「調べものの相棒」としてGoogleの代わりに使ってみる(例:いちごの名産地はどこ?)
・「ChatGPTとしりとり」「作文のネタを出してもらう」「なぞなぞ」 など
まずは簡単な質問など遊び感覚で始めてみてください✨Googleで調べるような感覚で「ChatGPTってどんな使い方ができるの?」など聞いてみるのも良いかもしれません。
お子さんと一緒に間違えながらもやってみることで、教育効果が高くなります。
②ChatGPTを使用する目的を明確にする
「なんのためにお子さんがChatGPTを利用するのか」その目的を明確にした上で使用しましょう。
ChatGPTは便利すぎるが故、「なんのために使うのか」の目的がぶれてしまうと、
・ChatGPTに依存してしまい、自分で考えずなんでも聞くようになってしまう
・宿題や試験などでズルをするようになる
こういった事態を招くことに。
よって、宿題でChatGPTを使うにしても「宿題のどんなところをChatGPTに手伝って欲しいのか」これをしっかり明確にしておくことが重要◎
例えば以下のような使用目的が挙げられます。
・宿題における「調べもの学習」でリサーチを手伝ってもらうためにChatGPTを使用する
→⚠️出てきた答えをそのまま移さず、要約は自分でする
・作文のテーマや書く内容の「ヒント」をもらうために使用する
→⚠️文章全部を生成してもらわない
お子さんの力を伸ばすためにも、ぜひ使用前に目的を設定してみてくださいね。
お子さんが宿題などでズルをしないか、親御さんとしては心配ですよね…
ズルを防ぐにはやはり「使用目的をお子さんにもしっかり伝える」ことが重要となります。
一度伝えただけではなかなか理解することが難しいので、使うたびに伝えていくことがポイント。
「質問力を育てる」「表現の幅を広げる」という目的も持つと学びにつながりますので、ぜひ意識してみてくださいね!
③使い方のルールを決める
ChatGPTを親子で使う前に、家庭での「使用ルール」を決めましょう。
子どもは明確なルールがないと、どんどんのめり込んでしまいがち。
なので、「使用時間、使用場所、タイミングなど」を事前に親子で決めておくことでトラブルを回避することができます。
ポイントは「ルールを守らせる」のではなく、「子どもと一緒にルールを決め、自分の決めたルールに沿ってもらう」こと。
お子さん自身が決めたルールであれば、「守らなきゃ」という意識が強く働きやすくなりますので、ぜひお子さんと一緒にルールを考えてみてくださいね。
ルールの具体例としては、
・使用時間帯を決める
→例:週3回、1回30分など
・ChatGPTを使用したら必ず親に内容を見せる、ChatGPTの答えを見て子ども自身が考えたことを話す
・宿題でChatGPTを使用するなら、「どこまでの使用ならOKか」を一覧表にする
→以下に「宿題でChatGPTを使用するときのOK/NGチャート」をお示しします💡
利用シーン | ChatGPTの使い方 | OK/NG | 理由と親の関わり方 |
---|---|---|---|
調べ学習 | 「○○とは何?」と聞いて説明文をもらう | ✅ OK | 子どもが自分で読み、理解しようとすれば◎。親が一緒に「情報の正しさ」をチェックすると尚良し。 |
作文のネタ出し | 「夏休みの思い出の作文を書きたい。どんな構成がいい?」と聞く | ✅ OK | 構成のヒントや視点を得るのは学びになる。書く内容はあくまで子ども自身が考えること。 |
作文の丸投げ | 「夏休みの思い出の作文を書いて」とそのまま出力→コピペ | ❌ NG | 表現力や語彙力が育たない。書かせた文章を見て「どう思った?」「自分なら何を書く?」など話し合えば◎。 |
計算問題・漢字ドリル | 答えを全部ChatGPTに聞いて写す | ❌ NG | 思考力ゼロ。理解のための解説を聞くのはアリだが、答えを聞くだけはズルになりやすい。 |
わからない問題 | 「この文章の意味がわからない」「なぜこうなるのか?」と質問する | ✅ OK | 考えるきっかけになる。親が「じゃあどういうこと?」と追加で深掘る会話をすればさらに良し。 |
調べたことの検証 | ChatGPTの答えを見て「他のサイトでも調べてみよう」と確認する | ✅◎超おすすめ | 「鵜呑みにしない習慣」がリテラシー育成に直結。一緒に2〜3個の情報源を見比べてみる。 |
使い方次第でOKです◎
もちろん「何も考えず答えを移す」のはNGですが、「文章構成を相談する」「調べ方のヒントをもらう」などは◎
ルールと使用した後の振り返りをセットで行えば、十分学びをサポートしてくれます💡
ChatGPTは“能力を伸ばす道具”にもなる|活用アイデア5選
ChatGPTは使いこなせるようになると、お子さん自身の能力を伸ばす手助けをしてくれる画期的なツール。
すでに海外では、家庭教師の代わりにChatGPTを活用して勉強を進めている国もあります。
この章では、「小学生の能力を伸ばすChatGPTの活用方法」を5つご紹介いたします💡
①「調べ学習のサポート役」として使う
②「作文のアイディア出し」に使う
③「語彙力・表現力トレーニング」に使う
④「質問の仕方」を相談する際に使う
⑤思考の幅を広げる「会話相手」として使う
①「調べ学習のサポート役」として使う
小学校の宿題で出る「調べ学習」の際にChatGPTを使用します。
宿題で「戦国時代について調べよう」「電気ができる仕組みを調べよう」など出たとき
子どもと一緒に「戦国時代の有名な出来事を教えて」とChatGPTに聞いてみる
→ChatGPTの答えを見て、「どこが面白い?」「他のことも調べてみる?」と親が会話をつなぐ
・情報の要点を読み取る力
・興味の幅を広げる力(自発的に「これも気になるから調べる!」と広げていける)
・情報の信憑性を考える(親子で一緒に検証する)
②「作文のアイディア出し」に使う
作文のテーマや構成、表現のヒントを得るときに使用します。
夏休みの思い出、将来の夢、自由テーマの作文などで「書くネタが出てこない」「どういう構成で書けば良いか分からない」「良い表現方法が思い浮かばない」とき
親子で一緒に「夏休みの思い出作文を書きたい。私に何か質問をして」とChatGPTに送る
→ChatGPT:「どこへ行きましたか?誰と行きましたか?楽しかったことは?」と返してくれるので、その質問に答えていくと自然と作文の材料が揃う!
・自身の経験を言語化する力
・構成力
・質問される→答えるという「対話的思考力」
③「語彙力・表現力トレーニング」に使う
小学生の語彙力や表現力を養う目的で使用します。
「悲しかった」「嬉しかった」など、単語がワンパターンになりがちなとき
「うれしかった、の別の言い方を教えて」とChatGPTに質問する
→ChatGPT:「大喜びした/テンションが上がった/心が踊った」などが出るので、それを使って作文を書き換えてみる!
・表現のバリエーション
・言葉のニュアンスの理解
・作文を修正することへの抵抗感が減る(何度でも間違えていい、その度に修正すればOK◎ということを学べる)
④「質問の仕方」を相談する際に使う
物事に対して疑問を持ち、その疑問を言語化する上での「練習相手」として使用します。
「わからないけど、何がわからないかも言えない」というとき
(※ChatGPTに「聞き方」を確認します)
シーン:理科の宿題「月の満ち欠けについて調べる」だけど、質問の仕方が思いつかない
子ども:「“月の形の変わり方”…なんて聞けばいいのかわかんない…」
親:「じゃあさ、“月のことを調べたいんだけど、どう聞けばいい?”って、ChatGPTに聞いてみるのはどう?」
子ども:「あ、そうか!“順番”って言えばいいんだ!」
・自分で問いを立てる力(探究心、思考力)
・「疑問の言語化」ができるようになる(説明力)
・AIを使いこなす基礎リテラシー(AIと対話する力)
⑤思考の幅を広げる「会話相手」として使う
小学生が「世の中には様々な考え方がある」ということを知るために使用します。
「他の人はどう考えるんだろう?」が分からない子や自分の考えにこだわりが強くなりがちな子に◎
子ども:「○○についてどう思う?」とChatGPTに質問
ChatGPT:「こんな意見もあるよ」「こういう考え方もあるよ」と複数の視点を提示
→「それって変だと思う?」「どっちがいいと思う?」と親が問い返す
・多角的な視点
・「自分と異なる考え」への耐性や共感力
・考えを深める内省力
ChatGPTはただ「答え」をくれるだけではありません。
親子の使い方次第で、思考・探究・表現といった「学ぶ力」を育てる強力な仲間になります。
今回ご紹介した方法をぜひ一つずつ試してみてくださいね。
【リアル事例あり】学校でのChatGPT活用はここまで進んでる
この章では、既に教育の現場でChatGPTを導入している小学校の事例をご紹介いたします。
①東京都の私立小学校の事例
5年生の「総合的な学習の時間」でChatGPTを活用。
「AIと人間の違い」をテーマにディスカッション。
自分の問いをChatGPTに投げ、返ってきた答えを仲間と共有し、「この答えはどう思う?」と意見交換している。
💡ポイント:使い方の是非ではなく、「AIの答えをどう扱うか」を考える授業として設計されています。
②福岡県の小学校の事例
調べ学習の発展的活動としてChatGPTを導入。
「地球温暖化について調べる」活動で、
本やネットで調べたあと、ChatGPTにも質問し、
出てきた答えを「他の資料とどこが違うか?」と比べる→情報リテラシー育成へ。
💡ポイント:使う前に「ChatGPTが出した答えの正しさの見極め」や「情報の比較の仕方」を教えています。
今後の動向|小学校でのChatGPT利用はどう広がるのか
では今後、小学校におけるChatGPTの活用はどのように進められるのでしょうか。
文科省は生成AIの普及を鑑み、2024年に「教育現場における正式な指導指針の検討」を開始しております。
今後、より明確な「ChatGPTを使用する際のOK/NGライン」が示される可能性があります。
既に中学・高校では探究活動や英語の要約・翻訳補助などで導入が進行中。
よって、小学生段階でも「情報活用能力」「思考力の可視化」の教材として拡がる見込みとなっております。
今の教育現場では、「ChatGPTを使わせるか・使わせないか」よりも、「どう使わせるか」が問われる時代になりつつあります。
家庭でも「AIを怖がる」より、「どう付き合うか」を一緒に考える姿勢が子どもの力を伸ばす第一歩になりますので、今回ご紹介した方法を一つずつ試し上手にChatGPTを使ってみてくださいね。
最後に:ChatGPTを味方につけて小学生の能力を伸ばそう
ここまでお読みいただきありがとうございます。
小学生のChatGPT利用について、少しでも不安が払拭されていると嬉しいです🌷
教育現場を始め、企業でも導入が進められているChatGPT。
近い将来、ChatGPTを始めとする生成AIの利用が当たり前となる時代が来るかと思われます。
たとえば、就職活動や資格試験対策にもAIが活用されるようになってきています。
大人になってから慌ててAIリテラシーを身につけるのではなく、子どものうちから「どう使うか」を学ぶことが、将来の大きな力に◎
「生成AIに使われてしまう時代が来るかもしれない」「多くの職業は生成AIにとって代わられる」といった声もありますが、だからこそ小学生のうちから試行錯誤しながら使い方を身につけていくことが重要なのです。
「使われる側」ではなく「使う側」になる。
そのために、親子で一緒にChatGPTを始めとする生成AIに触れる機会をどんどん増やしてみてくださいね。
一緒に「生成AIの使い手」になりましょう✨
最後までお読みいただきありがとうございました。